学校だより

タブレットもいいけど、辞書もね!(5月28日)

                                  校長  小 林 香 織

 5月19日の環境整備は、ちょっと暑すぎ・・・と思える天候でしたが、保護者、地域の皆様のご協力であっという間に学校周辺がきれいになりました。本当にありがとうございました。       

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 さて、現在学校では1人1台のタブレットを活用した授業を進めています。自分の考えを記録する、記録した考えをもとに交流する、気になったものを写真に撮る、などなど、様々な使い方を駆使して子どもたちは学習を進めているところです。

 私たち大人も、スマートフォンを日常的に使っています。スマートフォンやタブレットは、電話やメール、インターネットを使って調べる、メモ帳やスケジュール帳、ゲーム機など、様々な機能を持った「小さなパソコン」と言えるかと思います。とても便利な文明の利器です。こんなに便利なタブレットですが、果たして子どもたちにとって、本当にメリットばかりなのでしょうか?デメリットはないのでしょうか?

 子どもたちの学習の中には、言葉や漢字を調べる学習があります。タブレットが普及する前は、「辞書」や「辞典」を使って調べていましたが、今やほぼタブレットで調べることが多いようです。この「タブレットを使って言葉の意味を調べる」と「辞書・辞典を使って言葉の意味を調べる」活動を少し比較してみます。

     

  小学校の学習で、タブレットに慣れた子どもたちにとって、辞書・辞典を使って調べることは、「面倒くさい」ことだと思います。しかし、脳科学の面からは、辞書・辞典を使うことが推奨されています。なぜかというと、辞書・辞典のページをめくるときの指先の感覚が、脳に刺激を与え、記憶中枢を活性化させ、調べた言葉が定着しやすいそうです。高齢者がボケ防止のために麻雀をしたり、折り紙などで指先を刺激したりするのと同じ効果があるとか。また、メリットの欄にも書きましたが、1つの言葉を辞書で調べると、その周りに8つの言葉を読むことができ、1回調べるたびにその周りも読むと、全部で9つの言葉を知ったり覚えたりすることができます。1回で9度おいしいなんて、アーモンドグリコよりもお得ですね。

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 「最近の若者は言葉を知らない」「語彙が少ない」と数年前から言われています。世の中は、コスパやタイパなどと言われ、どんどん便利になる風潮ですが、人間の成長にはある種の「不便さ」も必要です。不便だからこそ、工夫する・考える・試してみるという活動が生まれます。ちょっと面倒くさい辞書・辞典を引く活動が当たり前の活動になれば、子どもたちの語彙が増えるとともに、豊かな表現に繋がっていくことでしょう。こんなに便利になっている世の中ですが、子どもたちの学びを豊かにするために、少しだけ「不便さ」も取り入れてみませんか?