子どもを大人扱いしてみませんか?

                                                                                                                             校長  小 林 香 織  

 28日間の夏休みが終わりました。例年より少しだけ長い休みでしたが、子どもたちはたっぷりと満喫できたようです。8月集会のときに「夏休み満足しましたか?」と質問したところ、全員が「満足!」と手を挙げていました。

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 さて、世の中には様々な人がいます。2022年4月から成年年齢が18歳に引き下 げられました。法律による年齢の区切りはあるものの、いつまでも子どもな大人もいれば、すでに大人といえる子どもも存在します。人はそれぞれに異なったペースで成熟度を重ねていきます。そう考えると、大人か子どもかという区別は年齢だけで決めるのは難しいところです。親としても「いつまでもかわいい子どもでいてほしい」反面「早く大人になってほしい」の両面があるのではないでしょうか。

 そこで、子どもであること、大人であることそれぞれのメリット・デメリットを考えてみたいと思います。

 子どもであることのメリット・デメリット

   メ:泣けば大抵のことの責任から逃れられる。

   デ:責任を伴わない権利はないので、大人の言うことに従わなければならなくな

     る(言いなりになる)

 大人であることのメリット・デメリット

   メ:責任を引き受けることで、自分の手でコントロールできる物事が増える。

    (信用が生まれる)

   デ:自分で行うことへの社会的な責任を負わなければならない。

 こうしてみると、どちらにも『責任』という言葉が関わっています。

 自分の決めたことを貫くことも、誤った言動を取ったときに謝罪することも、どちらも『責任』。自分が行ったことに対して責任を持つことは、大人の世界では当たり前のことです。しかし子ども扱いされていると、『自分の言動に責任を持つこと』はいつまでも身に付かないものです。

 最近、本校の斉藤養護教諭から次のようなお話を聞きました。

 知り合いのあるお母さんが、お子さんに「自分の食べられる量のご飯をお弁当として持って行きなさい」と伝えたそうです。食べてみて少ないと感じても、多かったと感じても、自分で盛ったのだから自分の責任。お子さんは、何度か挑戦するうちに合う量を見つけたそうです。

 些細なことに感じるかもしれませんが、まずは自分のことに自分で責任を持たせることからスタートするのも良いのだと思います。

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 最近のニュースを見聞きすると、責任と権利のバランスが崩れてきているなぁ…と感じることがあります。責任を伴わずに権利だけを主張する人が得をして、権利を主張せずに責任を引き受ける人が損をするような事案が増えているように思えます。責任から逃げ回ることは、自らの成長する機会を失い続けているのと同じです。年齢によらず、「自分の言動に責任を持つことのできる人間」に子どもたちを育てるためにも、学校でも家庭でも、少しずつ『大人扱い』してみませんか?