【R0301巻頭言】夢を叶えるための時間~人生の先輩からのメッセージ

 新しい年が幕を開け、年度末である後期後半が始まりました。後期後半は授業日数が1・2年生は47日間、3年生は40日間と非常に短い期間となります。「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」と言われるように、慌ただしく時間が過ぎていく時期です。各学年の総まとめ、そして進級の準備であると同時に、3年生にとっては進路実現に向け、とても大切な期間となります。コロナ禍における感染症対策を引き続き行いながら、新しい学校や学年に向かうために、大切に過ごしてほしいと願っています。

 さて、毎週月曜日に行っている朝会では、月初めは校長による講話を行い、他は生徒会の企画や、校長以外の教職員による講話を行っています。1月25日は社会人1年目、教職員の中では一番生徒に年齢が近い事務職員の講話でした。その講話の内容を紹介します。

 話は小学校時代に抱いていた大きな夢(プロ野球選手になる)について。小学校、中学校時代に野球をやっていて、打っては4番、守りはエースピッチャーと、まるで大谷翔平選手のように活躍していた自分が、高校に入ったときに自分よりもうまい人がたくさんいて、壁にぶつかってしまったこと。そのときに練習に対する「意識」が、うまくなりたい一心で「自分から」率先して練習に励んでいた自分から、壁にぶつかったことで練習の時間がただ過ぎていくことに喜びを感じるようになり自分を成長させたいという気持ちが薄れ、気がつけば高校に入学したときよりも周りとの差が大きく開いていったこと。そして周りと同じことをしていても自分の意識の持ちようで大きく変わるのだと、高校での部活動を引退したときに強く感じたということを話してくれました。

 話の後半では「夢を叶えるために必要な1万時間」についての話でした。これは1万時間の法則といわれ、心理学者のアンダース・エリクソン教授(フロリダ州立大学)らが1993年に発表したものをもとに、英国生まれの元新聞記者マルコム・グラッドウェル氏の著書『天才! 成功する人々の法則』で広められてもので、「ある分野でスキルを磨いて一流として成功するには、1万時間もの練習や努力、学習が必要だ」というものです。1日3時間継続して努力すると、10,000÷3=3,333.3…、更に365で割ると9.1…となり、9年という時間が必要ということになります。また、1日4時間だと6.8…となりおよそ7年となります。これは生徒たちがちょうど社会にでて働き始めるまでのこれからの時間です。1万時間という時間が正しいかどうかはわかりません。しかし、練習や努力、学習を継続することが大切だというのは間違いのないことです。終わりに「なりたい自分に近づけるように、これからの時間、コツコツと努力を続けていれば、それが実現する可能性が秘められていることを忘れないで欲しい」と人生の先輩から生徒たちにエールが送られ、生徒たちからも大きな拍手が起きました(思いが伝わったということだと思います)。

 事務職員というのは学校の中では一人職で、同じ仕事をしているのは他の学校の事務職員しかいません。そんな中、彼は意識を高く持ち、自分から他校の事務職員も含めいろいろな人に質問し、アドバイスを求めながら仕事をしています。きっと今の仕事に対する姿勢は、今回の話の中にあった経験が生かされているのだろうと思っています。