【R0211巻頭言】「情報活用能力」を育てる~GIGAスクール構想

 中学校では来年4月から新しい学習指導要領のもとでの、教育活動が推進されることになっています。学習指導要領は国がおよそ10年ごとに見直しを行う教育計画の基準を定めたもので、教科等でどのような内容を教えるのかが示されています。今回の改訂ではグローバル化、情報化が進む社会で10年先の状況を見据えて、「主体的・対話的で深い学び」をとおして、3つの資質・能力(「知識や技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間性等」)をバランスよく育むことが求められています。あわせて、学習の基盤となる資質・能力として「言語能力」、「情報活用能力(情報モラルを含む)」、そして「問題発見・解決能力」を様々な教科等で育んでいくことも求められています。

 ここで学習の基盤として示された「情報活用能力」とは、「情報そのものやICTをはじめとする情報技術を活用する力」のことです。IoT、ビックデータ、AI等の技術革新が進む社会で求められる力でもあります。そのためには、情報手段(ICT機器等)の基本的な操作を文房具の利用と同様の必須スキルと捉えることが必要だと言われています。情報を収集・整理・発信する力、プログラミング的思考、情報モラルや情報セキュリティに関することについての学びも重要になってきます。このような学びをとおして「たくさんの情報の中から、必要な情報を見つける力、正しい情報を見抜く力」などを身につけていくことが大切です。中学校では技術・家庭科の技術分野の「情報の技術」領域で、プログラミングや情報セキュリティについての内容が充実しています。

 また、新しい学習指導要領では「情報活用能力」を育てることと合わせて、これまで以上に教科指導におけるICTの活用が求められています。これまでも行われてきた教員が大型モニタに画像や音声、動画などの教材を映し出すことや、プレゼンテーションソフト等を用いて資料や作品を制作するといった活動に加え、発表や話し合いなどの協働学習でも活用が求められています。

 こうした中で国から昨年の12月に示されたのがGIGA(Global and Innovation Gateway for All を省略したもので、携帯電話会社が使用しているギガとは異なります)スクール構想です。「児童生徒1人1台のコンピュータ(タブレット)」と「高速通信ネットワーク環境(校内のWi-fi)」を整備し、教育ICT環境を整えるというものです。当初は令和5年度までの計画でしたが、新型コロナウイルスの影響により前倒しとなり、今年度中に実現をめざすこととなりました。新型コロナウイルスの影響で、「GIGAスクール構想」→「オンライン授業」というイメージが強いかもしれませんが決してそうではありません。しかし、学校の全ての授業がICTによるものに変わるわけでもありません。GIGAスクール構想で教育ICT環境が整うことは、授業でICTを活用する場面が増え、学習効果を高めたり、時間を効率的に使えたり、子どもたち一人一人の学習状況を的確に把握して学びを充実させたり、「情報活用能力」を育てたりすることにつながっていきます。

 本校でも間もなく「1人1台端末」「校内ネットワーク環境」が整います。日常の授業で活用する場面や、その授業のねらいに応じてどのように活用していくのかを私たち教職員がしっかりと考え、子どもたちの学びを充実させていきたいと考えています。