2020年9月の記事一覧

【R0208巻頭言】子供たちが自ら考え、議論していく授業づくり

 いつもとは違う短い10日間の夏休みが終わりました。冬休みまでの登校日数を数えてみると91日(回)。9月は前期の期末テストや部活動の秋季大会、そして10月の幌中祭に向けての準備など、子供たちはやるべきことが目白押しの状態です。さらに3年生は進路選択の参考資料となる学力テストも行われます。子供たちには夏休み明けの集会の中で、『「WITHコロナの生活」の中でも、単に「頑張る!」ではなく「何をどう頑張るのか」をしっかりと考えてほしい』と話をしたところです。先の見通しを持った取組が必要となりますので、余裕を持った対応ができるように指導をしてまいります。

 さて、夏休み前の話になりますが8月6日は広島平和記念日でした。75年前、広島に原子爆弾が投下された日です。例年ですと夏休み中なので、学校でこの日に「ヒロシマ」について触れることはできませんが、今年は授業日ということもあり、戦争の悲惨さや平和の大切さについて子供たちに担任から話をしました。そして、2・3年生の学級通信でも紹介されていましたが、2・3年生では道徳の時間に貧困や紛争のある国で「国境なき医師団」として医療援助活動を行っている貫戸朋子さんについての授業を行いました。「これから来る新たな患者のために、助かる見込みの低い男の子の酸素ボンベを切ったという私の判断は正しかったか」という難しい問題に子供たちは真剣に向き合い、「命」について深く考えたようです。

 この「ヒロシマ」についての2・3年生への担任からの話、そして同じ日に行った道徳の授業のように、道徳については道徳の時間だけではなく学校の全ての教育活動と関連付けて指導を行っていくことが求められています。道徳の時間で学ぶ価値内容は学習指導要領に示されていますが、さまざまな道徳的価値に対して「自分のこととして考える」「これからの自分の生き方について考える」ことが必要です。たとえば「きまりはなぜあるのか」「きまりは守らなければいけないのか」「きまりがなければどうなるのか」「きまりだから守るのか」という価値に対する様々な考えから、「自分はどうだったか」「それでよかったのか」「これからはこうしていこう」と自分の生き方に結びつく考えをさせていくことが大切です。そのために現在の道徳の授業では、子供たちが自ら考え、議論していく授業づくりが求められており本校でも取り組んでいるところです。議論する力を高めるには国語の時間、学級活動の時間などでも行われます。道徳の時間の議論はねらいとする価値にせまるため、よりよい価値観に気づかせるために行うことが大切です。資料等に登場する人物の葛藤の裏にある価値の高低、他の価値とのかかわり、多様な価値に対する考えを発表し、「そういうことか」「その考えはすばらしいな」「自分はできなかったな」「よし、これからやってみよう」というように議論を通して高まっていくことを期待したいものです。中学生という発達段階を踏まえ、議論する形態も工夫し、子供たちが自由に議論できる雰囲気づくりを大切にしていきたいと考えています。