学校だより
令和5年6月30日号
『凄いこと』
校長 笹 川 義 孝
◇習慣化することは凄いこと◇
6年生の国語で学習する安房直子さん作の童話「きつねの窓」。エンディングは、きつねに指を染めてもらって過去の思い出を映像で見ることができるようになった「ぼく」が、家に帰ってすぐにいつもの習慣で手を洗ってしまい、思い出が映る窓を作ることができなくなる…というお話です。実際に学習していた当時は、この終末の悲劇に衝撃を受けました。
『習慣』について考えてみました。習慣の意味を調べると、「長い間繰り返し行うことで、そうすることがきまりのようになったこと」とあります。この意味から、年齢を重ねるほど習慣は増え、定着の度合いが高いことになります。
私自身の習慣を見つめた時、次のものが特徴的なのではと思いました。(ここでは、習慣とは行動様式の他に、言葉を「言語習慣」、考えを「思考習慣」として含めています。)
○自分の習慣だと思うこと…食べ物を粗末にせず、全て完食する。
この食事に関する習慣は、高校生の段階ではまだ身に付いていませんでした。大学時代に節約生活をすることで食事の大切さを知り、生産者への感謝するようになったことが習慣化するきっかけです。幼少の頃から身に付くべきことかもしれません。皆さんと同じように家でも学校でも「好きなものを好きなだけ食べ、残しても良い」などと教わってはいませんが、幼少期は食事の大切さを心の底から理解していなかったのです。
鶴居小学校では、子供たちに家庭での自主学習や読書、運動することが習慣化されることを目指しており、4月に配付しました「よくわかる鶴居小学校」にも目安となる取組時間や内容を明記しています。「言うは易く行うは難し」であり、習慣化すれば凄いことです。子供自身の手で習慣化すべきことは何か、大人(学校職員や保護者)が教えたり励ましたりして習慣化を図ることは何かを整理し、術を持って子供たちにかかわり「よさ(その子の習慣化している優れた行い)」を育んでまいります。
◇鶴居小が凄いのではなかった!◇
赴任してから鶴居小の子供たちと三ヶ月間一緒に過ごさせていただきました。これまで、「よさ」はたくさんあるものの、今すぐここを改善しなければないらないと思うところがとても少ない子供たちだと感じています。「うん、鶴居小の子はよい子たちだ。」と思っていたのですが、この考えは少し違うことがわかりました。
6月22日に月末の修学旅行に向けて結団式を行い、参加する幌呂・下幌呂の6年生と初めて会いました。人数は鶴居小が多いので、幌呂小・下幌呂小の6年生は気後れするかな…と思いましたが、本校の6年生が和やかな雰囲気を作りすぐにを打ち解けていました。スムーズに交流する中で、幌呂・下幌呂の6年生が行う気配りや言動、人前に立つ最上級生らしさが短時間の中でも感じられ、「鶴居小ではなく鶴居の全小学生が立派なのだ」ということがわかりました。
この翌日の23日、中学生意見発表会で代表者7名の発表を聞く機会がありました。発表内容が素晴らしいのはもちろんですが、話し方や真剣な表情から全員がとても強い芯を持った生徒であることが伝わってきました。練習を繰り返してきた成果も表れていて「何て感じの良い中学生なのだろう」と思いました。
つまり、鶴居小の子を含めた鶴居全小中学校の子供たちが素敵なのです。あらゆる場面で子供一人一人の清々しさを強く感じます。その理由は前々号の巻頭言でも少し触れましたが、鶴居村にお住まいの方や勤務されている方が子供たちの手本となる姿を示しているからだと私は思っています。豊かな自然に囲まれ、人の心と行いも美しいのが鶴居村です。
令和5年5月31日号
『運動会を一場面として』
校長 笹 川 義 孝
5月27日は多くの皆様にご来校いただき、天候に恵まれた中で運動会を予定通り開催することができました。大変温かい雰囲気作りを保護者・地域の皆様がしてくださり、子供たちは伸び伸びと力を発揮することができました。ありがとうございました。
学校は、行事や学習・生活で子供たちが成長していく「過程」を大切にしています。今回の運動会を機にその姿を話題にします。
【十人十色の運動会】
体を動かすのが好きだった小学生当時の私は、運動会を毎年楽しみにしていました。対照的に、2歳上の兄は家で自分の時間を過ごすことを好み、運動も得意ではなく運動会は気が進まない行事であったように記憶しています。令和2年の緊急事態宣言下に学校が長期休業した時、多くの学校が運動会は実施して学芸会は中止または代替の発表会としました。当時勤務していた学校の子供たちは、運動会よりも学芸会開催を強く望んでいました。運動会が楽しみで小学生の頃の私と同じように高揚感のある子ばかりではありません。全員が競技や応援に参加することは、当たり前なのではなく凄いことなのだと思います。
児童の代表や放送担当としてマイクを手にする子たちからは、緊張感が伝わりました。重大な役割を自覚しているのです。徒競走やリレーで走る姿は、練習時と意気込みが違いました。仲間や応援を送る家族の期待に応えたいのです。全員が持つ「背景」が異なり、十人十色の思いがある運動会。今回見られた、お子さんらしさといつもとは違う一面のどちらも成長の証です。
【集団力を高める運動会】
『タンチョウソーラン』は勝敗ではなく「魅せる」ことが目的であり、ご覧になった方の反応や感想の内容が結果です。保護者の皆様から直接感想をお聞きしておりませんが、ビデオを構える姿やお子さんの姿を目に焼き付ける姿と表情から、ご評価いただけたと思っております。
毎年行う恒例種目でありますので、上級生になるにつれて経験による熟練さがあり、背中を見て下級生が育つ手本となっています。運動会に向かう期間では、日に日に全校の一体感が高まりました。練習では、相手の姿を見て分析し、自分の姿はビデオで分析し改善点を見出します。教員の指導があるものの、子供たちが自分たちで演技を高めようとする意識があります。この姿勢は、今年度の姿なのではなく「よき伝統」であり、今回も無事継承されたと思っております。
個人的に、今回の運動会で集団力の高さを強く感じたのは、タンチョウソーランでの「鳴子の音」と「かけ声」です。統一感があるので音と声が大きく聞こえ、音と声のあるなしのメリハリがありました。実際の児童数よりも多くの子がいると錯覚するくらい力強さを感じました。
【保護者・地域あっての運動会】
数年ぶりに来校者の人数制限をしない運動会でありました。コロナの影響を受けていない頃の地域・家庭との繋がりを戻さなければならないと考えております。今回、親族の方にもお声かけして来校いただいたことに大変感謝しております。
冒頭で述べましたように、今回は保護者・地域の皆様には子供たちが一層力を発揮する場作りに努めていただきました(特に「親子玉入れ」では、大人の勢いに子供たちが引き込まれた感がありました)。子供たちの活躍が家庭・地域を明るくし、家庭・地域の支えを受けて子供たちが成長する相乗効果が見られる教育活動を今後も目指してまいります。
令和5年4月28日号
『「当たり前」から見える鶴居小学校の凄さ』
校長 笹 川 義 孝
令和5年度の学校生活開始にあたって、子どもたちは期待や緊張、環境への適応等により力が入り、気を張って過ごしていたことと思います。3・4年生は複式学級となり、不安や戸惑いがある中でも仲間との協同の学びを進めて力の獲得に向かう熱意が表れています。今月第4週からは、運動会に向けた取り組みも開始していますので、これから当日まで体調良く迎えられるように健康面にも留意なさってください。
さて、私は鶴居小学校へ赴任してとても素敵な子どもたちに出会うことができました。みんな「誰からも好感を持たれる存在」なのです。学校を転々としていく私共教職員は、学校の風土やよき伝統などを短期間で感じ取るのですが、鶴居小学校の教育に関わる「人・もの・こと」からは、長年かけて培われてきた「歴史」を感じます。具体的にお伝えできるように子どもたちの姿(よさ)をトップ10にしようと思いましたが、順位付けできませんでしたので順不同で30項目を記載します。
①雰囲気が落ち着いている。②入学式への参加態度が100点。③校歌の歌声が素晴らしい。④式での6年生代表挨拶が立派。⑤挨拶が心地よい。⑥友好的な接し方。⑦雨具かけ周辺が整然。⑧ロッカーの中が整頓。⑨異学年で仲良く遊ぶ。⑩健康観察シートを全員提出。⑪学習の様子を見に行くと会釈してくれる。⑫動と静の場を理解している。⑬卒業するまでランドセル使用。⑬上靴のかかとがつぶれていない。⑭靴箱に靴の収まり方が全員同じ。⑮車道を横断する時に手を上げる。⑯机の上に全員が同じ物を同じ所に置く。⑰所定の場所に物を片付ける。⑱感謝を伝えることができる。⑲言葉遣いがきれい。⑳相手の顔を見て話す。㉑正しい廊下歩行。㉒先生の指示を聞いて行動できる(避難訓練)。㉓友だちに親切。㉔掃除を丁寧にする。㉕物や施設の使い方が正しい。㉖予報に合わせて雨具などの用意をしてくる。㉗特別教室での学習に出かける時、机と椅子を整頓して出発する。㉘係や当番に責任感を持っている。㉙素直に「はい」と言える。㉚掲示される物を丁寧に仕上げる(文字や絵など)。 日常的なご家庭の指導と協力により定着している項目が多数あります。また、よき伝統でありますので、本校を卒業された方にも当てはまるのではないでしょうか。
これらのよさは、子どもたちにとって既に「当たり前(習慣・慣習)」となっています。とても素晴らしいことを当たり前に行っているところに鶴居小学校の凄さを感じます。
関連するもう一つの凄さをお伝えします。校舎入口玄関を過ぎると最も目の付くところにスローガン「いい顔 いい声 言い動き」を掲示しています。このスローガン達成のために九つのキーワードを設けており、その一つが「挨拶・返事」です。また、玄関フード内には鶴居村コミュニティ・スクールが掲げる「日本一あいさつも美しい村」が記されたのぼりがあります。保護者・地域の皆様とお会いした機会はまだ僅かしかありませんが、全ての方が子どもたちの手本となる美しい挨拶をなさっていると感じています。大人が示す姿は確実に若い世代へ受け継がれていくはずです。このような場面の繰り返しがあって本校の教育が支えられていることを実感しております。ありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。
5月の連休は、少し心と体をリフレッシュしてお過ごしください。
令和5年4月14日号
『目指す姿へ進み続ける鶴居小学校』
校長 笹 川 義 孝
進級した在校生と、新たに迎える15名の入学生を加えた総勢71名で鶴居小学校の新年度を開始いたしました。
4月7日は約2週間ぶりの登校でしたが、新たな環境の熱気ある雰囲気の中で過ごす子どもたちの目から強い力を感じました。もう、これからの活躍が楽しみで仕方ありません。
この度の異動で赴任して間もない私ではございますが、本校の「目指す学校像」を常に念頭に置きながら教育活動を進めてまいります。よろしくお願い致します。
〈本校の目指す学校像①〉
「児童が『喜んで登校、満足して下校できる学校』」
やりがいのある学びや活動、信頼できる友だちに囲まれた居心地の良い学年・学級…。このような環境を整え、家庭に戻った時にたくさん学校のことを話したくなるような学校を目指します。
子どもたちが地域にいることで学校がつくられ、目の前にいる子どもたちの力を育むことを目的とした学校教育は、学習指導要領に沿って全国で共通の指導が行われます。そこに、鶴居小学校の児童一人一人の実態を踏まえた適切な指導を行うことで、上述の学校像の実現を図ります。
例えば、学年・学級で一斉に漢字練習をする時間があったとします。漢字を「覚えたい」と練習している子どもには、たくさん同じ漢字を書く指導をすることもあります。「字形の整った漢字を書きたい」と練習している子どもにはたくさん書くことよりも時間をかけて丁寧に書く指導をします。また、「書き順を正しく身に付けたい」という子どもには違う指導をします。その子がどんな思いを持っているのか、どんな指導をすれば自力で解決した達成感を味わうことができるのか、一人一人の子どもに寄り添った教育を行います。
〈本校の目指す学校像②〉
「保護者・地域の皆様が『信頼し、通わせたい学校、地域と共に歩む学校』」
鶴居村は、素晴らしい自然環境に囲まれ、人と人との繋がりを大切にして暮らす地域の皆様が、子どもを「地域の宝」として温かく見守ってくださっています。学校は心身ともに逞しく児童を育成する責任があることを自負し、教育実践に努めます。
信頼いただける学校にむけて、成果も課題も丁寧に発信していきます。そして何よりも、子どもたちの育つ姿で地域・家庭と鶴居小学校が連携した教育の成果を示したいと考えております。
4月より新型コロナウイルス感染症対策について、マスクの着用を求めないことが基本となりました。学校の教育活動や、来校者の人数等に制限をかけることも今後は少なくなる見込みです。地域・保護者の皆様が実際に学校の様子をご覧いただく機会が増え、コロナ流行以前にあった繋がりを取り戻せるよう計画してまいります。
【ご連絡】
今年度、3学年と4学年の2個学年を合わせた普通学級児童数が減少したことにより、複式学級「3・4年」となります(担任は1名)。3・4年の教室と廊下側のワークスペースを朝の会や学習、給食などの目的に合わせて使用していきます。
令和5年3月24日号
1年間ありがとうございました
校長 田 中 敏 行
3月に入り暖かな日差しが差し込む季節となりました。ようやく春の訪れを感じます。令和4年度の鶴居小学校の教育活動は、3月17日の第100回卒業証書授与式、24日の修了式をもって終了いたしました。
新型コロナウイルス感染症への対応となり3年目を終えますが、今年度は「コロナ対策」と「学びの保障」を両輪として教育活動を行ってきました。子供たちにとって「体験・経験」はとても大切です。豊かな心の育成へ強くつながるからです。今年度は校外学習や体験活動はほぼ予定通り実施することができました。そして、子供たちが元気に過ごしてくれていたことが何よりです。保護者や地域の皆様にもコロナ禍での対応についてご理解とご協力をいただきましたことに改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
17日の卒業証書授与式では、来賓、保護者の皆様、そして在校生に見守られながら8名の子供たちが鶴居小学校第100回目という記念すべき卒業生としてこの学舎を巣立っていきました。この卒業式は6年生にとって小学校生活最後の学習であり、在校生にとっては、お世話になった6年生と学ぶことができる最後の機会です。卒業証書授与式で、卒業証書を受け取る6年生の姿は、頼もしく立派でした。6年生と一緒に勉強をした機会も多かったのでその時の様子を思い出し感慨もひとしおでした。式の中では、在校生も卒業する6年生の姿をしっかりと見つめ立派な態度でした。この1年間、6年生は、委員会や集会などの場面で、下級生に対して優しく声をかけ、そして中心となって引っぱっていってくれる姿がありました。最高学年として大変だったこともあるでしょう。悩んだこともあるでしょう。その様々な思いや行動、みんなと協力してできた喜びや楽しさ、この大変な1年間を仲間とともに過ごした1つ1つが小学校生活の思い出となることと思います。
4月からは中学生です。中学校生活の3年間はあっという間に過ぎていきます。その中学校生活を充実したものにするためにも、常に「目標」をもち、そして、その目標に近付くために、一歩踏み出す行動力、挑戦する気持ち、あきらめない気持ちを大切にして、1日1日を過ごして欲しいと思います。また、中学校生活をはじめ、これから人生を生きていく上で、大きな山や壁にぶつかることもあるでしょう。そのような時は、「違う見方、違う考え方」といった「今までと違うやり方」をしてみたり、友達など周りの人たちに相談してみることもよい方法です。きっと、山や壁を乗り越えるきっかけが見つかるかもしれません。感謝の心を忘れず、志を高く掲げ、自らの目標や夢の実現に向かって勇気をもって踏みだし、前へ進んでください。心から応援しています。
本日24日は令和4年度の修了式を迎え、子供たちは、各学年の課程を修了しました。
4月からは1つずつ進級します。「新しい1年生が入学してくる」「中学年、高学年になる」「最高学年になる」など、それぞれの子供たちの気持ちも新たなものになることでしょう。「やってみたいこと」「がんばりたいこと」「克服したいこと」「楽しみにしていること」など、意欲も高まってくるでしょう。その気持ちを大切にして一回り成長した姿になってくれることを期待しています。春休みは、短いですが、今の学年の学習の復習をしっかり行い、自信をもって次の学年に進めるよう家庭学習を継続して欲しいと思います。
令和5年度も保護者、地域の方々とともに、子供たちのよりよい成長をめざし取り組んでまいりますので、どうぞご支援・ご協力をお願いいたします。今年度1年間、誠にありがとうございました。