学校だより

令和3年9月1日号「距離<ディスタンス>」

 北海道では8月27日に3回目となる「緊急事態宣言」が出されました。25日に出発を予定していた修学旅行は、旅行期間中に宣言が出される可能性が高いということになったため、村教委、幌呂中学校と協議を行い、20日に出発を取りやめの判断をし、10月に延期することとしました。すでに旅行に向けての準備を進めている中で、生徒たちはもちろんのこと、保護者の皆様、関係する皆様には大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。10月に感染がある程度落ち着き、旅行が実施できることを切に願っています。
 さて感染拡大防止には感染経路の1つである「飛沫」を防ぐことが重要です。くしゃみや咳で飛沫は飛び散ります。ですのでマスクの着用はもちろんですが、飛沫を防ぐ透明パーテーションを設置したり、「咳エチケット」が求められています。また、「3密」を避ける、「黙食」を行う、「換気」をするといったことも必要です。そして適切な「距離」を保つことが重要です。
 互いに手を伸ばして届く距離がだいたい2mで、自分の手の届く範囲が1m。感染症対策で日常の中で保つべき距離は2mと言われています。距離を意識した行動をとるときの目安になると思います。
 この「距離」について、子供たちの人間関係づくりを「ヤマアラシの距離」という興味ある言葉で説明している人がいます。

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 ヤマアラシは鋭いとげを体中に持っている動物です。そのヤマアラシが2匹いて、寒さをしのごうと寄り添おうとします。すると互いの体のトゲが互いの体を突っ突き合います。何度も何度も繰り返し、寄り添っては突っ突き合いながら、やがて互いのトゲとトゲの間をうまく調整し、その距離を巧みに測る術を身につけ、互いの体温で寒さをしのぐことができるようになるという喩えです。

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 生徒たちの人間関係においても、互いにぶつかり合いながら、時には痛い思いも体験しながら、互いに傷つけ合わない「距離感」や対応力を身につけていくものです。
  生徒たちは、教科の授業や学校行事、生徒会活動、部活動等の中で協働的な学び合いを行っています。また、地域の方々など周りの大人との関わりの中からも多くのことを学んでいきます。学校は知識を習得するだけではなく、心と体も大きく成長していく場です。他の仲間と協力して向上することの喜び、持てる力を最大限に発揮し一丸となって感じることのできる達成感や充実感といった「学校ならではの学び」があります。しかし一方で気持ちのすれ違いや緊張や疲労がたまることでのストレスなどで、人間関係の衝突も起きてしまったりもします。それが表面に現れる生徒もいれば、内面に閉じ込めてしまう生徒もいます。私たちは大きなトラブルやいじめ等につながらないよう、未然防止につとめていきますが、生徒たちの成長過程におけるこういった課題は、生徒たち自身の解決(折り合いをつける)を通して、豊かな人間性や社会性を育んでいくことにもつながると考えております。

私たち大人が、学校と家庭のそれぞれの特性、役割を生かし、連絡を取り合い、適切に支援しながら生徒一人一人が生き生きと過ごしていけるように見守っていくことが大切だと考えています。

 9月25日の「鶴中祭」に向けて取組が本格化しています。緊急事態宣言が出されている中です。「学校ならではの学び」充実していけるよう、感染症対策に基づいた物理的な距離の確保はもちろんのこと、生徒たちの心の距離を適切に保っていけるよう指導にあたっていきたいと考えています。