2021年12月の記事一覧

令和3年12月24日号「笑顔で過ごす」

 12月21日の朝は、雪の中の登校でした。玄関前を職員が作業をしていたところ、登校してきた生徒たちが一緒になってスノーラッセル(スコップ)を持ち、除雪を手伝ってくれていました。生徒たちが主体的に行動する姿がとてもうれしくそして誇らしく思いました(ただ、道具には数に限りがあります。自分もと思いながら歩いていた生徒もいたと思っています。)。

 明日から21日間の冬休みになります。冬休み中は、大晦日やお正月などの年末年始の行事もあり、ご家族で過ごす時間も多くなると思います。休みに入る前の12月集会では生徒たちに「おせち料理」について話をしました。日本には素晴らしい伝統文化があります。テレビ番組やインターネット、SNS等でも関連する情報が多く流れます。生徒たちにはぜひ「日本のよさ」について考え、実感しながら、家族で楽しい時間を過ごしてほしいと思っています。
 さて、新しい年を迎えるとき、「笑う門には福来たる」という言葉があります。「門」は家庭や家を表しています。「いつも笑いが絶えない家庭には、幸運が訪れる」という意味になります。お正月遊びの「福笑い」が語源のようです。このことについて次のような記事を見つけました。


箸を横にして歯でかみ、笑顔に近い表情をつくる。すると脳内でドーパミン系の神経活動に変化が出てくるという。ドーパ
ミンは快楽に関係する。人は楽しいから笑うが、笑顔をつくるから楽しくなるという逆の因果関係もあるようだ。同じように箸をかみながら漫画を読むと、より面白く感じるという実験結果もある。…(略)…、笑ってみると少しだけ前向きになる気がするのだ。…(略)…、笑い顔には周りに「感染する」という研究もあるそうだ。(池谷裕二著「脳には妙なクセがある」)

 

 さらに調べてみると「笑顔の方がチョコレートより脳内により多くの喜びを引き起こす。笑顔1つで2,000個ものチョコレートバーと同じレベルの脳内刺激を生み出す。」や「作り笑いでさえ気分上昇へとつながる。笑顔をつくることで喜びを感じるようになる。」「笑顔は寿命にも関わる。野球選手の移ったベースボールカード。笑顔で写っている選手の平均寿命が80歳。そうでない選手は73歳。ということは、笑顔は7年多く命を延ばしてくれる」などなど。あらためて「笑顔」の力には驚かされます。「感染」というと苦しくて嫌な気持ちになりますが、笑顔の感染は広がってほしいところです。マスクをしていても笑顔にはなれる、笑顔は伝わるはずです。

 新型コロナの収束が見通せない状況が続いています。学校は感染症対策を講じた上で「できる方法」を考え、前向きに教育活動に取り組んできたところです。保護者や地域に皆様には、従来とは異なる対応となることもあり、ご迷惑やご負担をおかけすることが多かった1年だったと思います。皆様のご理解とご協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。                それでは笑顔でよい年をお迎えください。

 

 

令和3年12月2日号「牛がいて、タンチョウもいる」

 12月3日(金)にタンチョウ越冬分布調査が行われます。本校からも1・2年生がこの調査に参加します。調査は14地点。3~4名で班を編制し2年生が班長となり、バス(一部徒歩)で移動し調査を行います。この調査は「タンチョウの越冬分布・規模を把握する調査活動を通して、基本的なタンチョウ保護の歴史について学ぶ」ことをねらいとして実施されます。そこで私も改めて鶴居村史などに目を通し、タンチョウ保護の歴史について調べてみました。
 タンチョウは明治時代の乱獲、生息地である湿原の開発によって生息数が激減し、絶滅したと思われていました。しかし大正13(1924)年に釧路湿原で十数羽が再発見されその保護が検討されるようになり、昭和10(1935)年、釧路湿原の一部が「釧路丹頂鶴繁殖地」として国の天然記念物に指定されました。鶴居村が鶴の居る村として舌辛村から分村独立したのがちょうどこの頃(1937年)のことです。そして昭和27(1952)年には国の特別天然記念物に指定され、国や自治体による保護活動も講じられるようになりした。
 この昭和27年は今回実施するタンチョウ越冬分布調査が始まった年でもあります。このときの鶴居村を含むタンチョウの生息数は33でした。そして、猛吹雪の中、数羽のタンチョウが畑に置かれた冬の保存用トウモロコシを食べに来ているのを、幌呂小学校の児童が発見し、給餌に成功したのもこの年です。その後、各所で給餌活動が行われるようになりました。昭和37(1962)年から下雪裡小学校で子供たちと一緒に渡部トメさん(故人)が給餌を行っていた「鶴見台」、昭和41(1966)年から中雪裡で給餌を始め、昭和62(1987)年には自らの土地を提供し、日本野鳥の会と共同運営で「鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ」を設立した伊藤良孝さん(故人)など、多くの村民の方々がタンチョウ保護に力をそそぎ、冬の餌不足が解消されたことで生息数は増加、1000羽を超える数となっています。
 こうしたタンチョウ保護の取組が進むことで、タンチョウやそれを見ようとする観光客の畑への侵入やタンチョウによる食害といった農業被害、タンチョウの人慣れによる車や電線への接触事故などの問題もおきています。また、国はタンチョウが自然状態で安定的に存在できるよう繁殖地及び越冬地の分散を促す「タンチョウ生息地分散化行動計画」を策定し、平27(2015)年から国の委託給餌場(サンクチュアリや鶴見台など)の給餌量を減らす取組を行っています。令和(2019)年には、村内の小中学生も参加しての「タンチョウフォーラム」が開かれ、タンチョウとの共生に向けた取組が話し合われました。そこではタンチョウ保護の発祥地として責任と気概を持ってタンチョウ保護を続けるとありました。タンチョウの保護と観光、共存のあり方が新たな課題となっているようです。

 鶴居村史の中に「牛がいて、タンチョウもいるのが鶴居の 風景」とありました。生徒たちには鶴居村民として、タンチョウに対する関心をしっかりと持ち、この鶴居の風景のこれからについて考えてほしいと思っています。