学校だより

令和3年9月30日号「節目と見えないもの」

 コロナウイルス感染症拡大防止の緊急事態宣言により、9月25日に予定していた鶴中祭を1週間延期し、10月2日に行うこととしました。この日は前期の最終日。翌週の10月4日には前期終業式と後期の始業式を兼ねた式を行います。生徒たちにとっては、鶴中祭が終わり後期が始まるという大きな節目となります。
 この「節目」について、4月の始業式で2・3年生に「竹の話」ということで次のような話をしました。

 

 北海道ではあまり見ることはできませんが、竹は直径が10cm程度であるにもかかわらず、10mを超える高さまで成長し、しなやかでとても強いものです。その理由は「節目」にあります。「節目」がなければ、風が吹いたり雪が積もることで、竹は折れてしまいます。でも、「節目」があることで、竹は揺れを吸収するなどして、折れることなく、まっすぐに伸びていくことができます。この「節目」、私たちの生活に置き換えて考えることもできます。皆さんにとって、この4月は大きな「節目」の一つです。新しい学年に向けての意識を持ち、改めてこれを頑張ろうと目標をたてていくと思います。このとき、これまでの生活を振り返ってみて、ここを変えていきたい、もっとよくしたい、などと考えることで、自分の中に「節目」ができます。
 3年生は学校の最上級生として、学校の中心となって果たす役割のこと。自分自身の進路決定のこと。2年生は中堅学年として、3年生や新しく入ってくる1年生とどのような学校生活を送るのか。自分をさらに磨き、充実させるために必要なことは何なのか。これらのことについて、思いをめぐらし、考えることで、その後の毎日の行動が大きく変わっていきます。ぜひ、しっかりとした皆さん一人一人の節目をつくり、竹のようにしなやかに、そしてまっすぐに成長していってほしいと思っています。頑張る皆さんを先生方はしっかりと応援します。一緒頑張りましょう。

 

 この話のように、今は前期の自分を振り返り、後期の自分を考えるときです。ここでもしっかりとした「節目」をつくってほしいと願っています。また、この竹については、次のような話もあります。

 

 竹は、最初の4年間は殆ど伸びることもなく、あたかも成長が止まってしまったかのように見える。しかし、5年が経つと一気に成長し、ぐんぐん伸びる。いったい最初の4年の間、竹は何をしていたのでしょう。実は、その間の竹は成長が止まったのではなく、根が大きく成長しているのだそうです。まずしっかりと根をはり、太く長い幹を支えるための基盤を作り、頑丈な基盤ができたとたんに一気に伸びる。それが5年後の竹だったのです。根がしっかりしているからこそ大きく成長した後も、根こそぎ倒れたりすることがないのです。

 

 私たちは、ともすると見える部分にばかり目がいきがちです。見える部分が成長しない(変わらない)ことに不安を感じたり、見える部分にばかり目を奪われ、見えない部分をおろそかにしてしまったりすることがよくあります。

 子供の成長に竹の根に相当する見えない部分(基盤)があるとすれば、私は、①基本的な生活習慣、②豊かな情操、③他人に対する思いやりや善悪の判断などの基本的倫理観、④自立心や自制心、⑤社会的なマナーなどであると考えます。

 こうした基盤がしっかりすることで、積極的に他者と関わり、意欲的に学んだり、自ら運動に親しんだりして自己を確立し、大きく成長していきます。つまり、見えない部分の成長が、見える部分を変えていくということです。中学生という時期は、見えない部分と見える部分の両方が育つ時期だと思います。
 今後も、家庭や地域の方々と連携をし、しっかりとした頑丈な根を張らせ(育て)、毎日の授業や諸活動で太く長い幹
と節を作って(鍛えて)いきたいと考えています。

 

令和3年9月1日号「距離<ディスタンス>」

 北海道では8月27日に3回目となる「緊急事態宣言」が出されました。25日に出発を予定していた修学旅行は、旅行期間中に宣言が出される可能性が高いということになったため、村教委、幌呂中学校と協議を行い、20日に出発を取りやめの判断をし、10月に延期することとしました。すでに旅行に向けての準備を進めている中で、生徒たちはもちろんのこと、保護者の皆様、関係する皆様には大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。10月に感染がある程度落ち着き、旅行が実施できることを切に願っています。
 さて感染拡大防止には感染経路の1つである「飛沫」を防ぐことが重要です。くしゃみや咳で飛沫は飛び散ります。ですのでマスクの着用はもちろんですが、飛沫を防ぐ透明パーテーションを設置したり、「咳エチケット」が求められています。また、「3密」を避ける、「黙食」を行う、「換気」をするといったことも必要です。そして適切な「距離」を保つことが重要です。
 互いに手を伸ばして届く距離がだいたい2mで、自分の手の届く範囲が1m。感染症対策で日常の中で保つべき距離は2mと言われています。距離を意識した行動をとるときの目安になると思います。
 この「距離」について、子供たちの人間関係づくりを「ヤマアラシの距離」という興味ある言葉で説明している人がいます。

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 ヤマアラシは鋭いとげを体中に持っている動物です。そのヤマアラシが2匹いて、寒さをしのごうと寄り添おうとします。すると互いの体のトゲが互いの体を突っ突き合います。何度も何度も繰り返し、寄り添っては突っ突き合いながら、やがて互いのトゲとトゲの間をうまく調整し、その距離を巧みに測る術を身につけ、互いの体温で寒さをしのぐことができるようになるという喩えです。

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 生徒たちの人間関係においても、互いにぶつかり合いながら、時には痛い思いも体験しながら、互いに傷つけ合わない「距離感」や対応力を身につけていくものです。
  生徒たちは、教科の授業や学校行事、生徒会活動、部活動等の中で協働的な学び合いを行っています。また、地域の方々など周りの大人との関わりの中からも多くのことを学んでいきます。学校は知識を習得するだけではなく、心と体も大きく成長していく場です。他の仲間と協力して向上することの喜び、持てる力を最大限に発揮し一丸となって感じることのできる達成感や充実感といった「学校ならではの学び」があります。しかし一方で気持ちのすれ違いや緊張や疲労がたまることでのストレスなどで、人間関係の衝突も起きてしまったりもします。それが表面に現れる生徒もいれば、内面に閉じ込めてしまう生徒もいます。私たちは大きなトラブルやいじめ等につながらないよう、未然防止につとめていきますが、生徒たちの成長過程におけるこういった課題は、生徒たち自身の解決(折り合いをつける)を通して、豊かな人間性や社会性を育んでいくことにもつながると考えております。

私たち大人が、学校と家庭のそれぞれの特性、役割を生かし、連絡を取り合い、適切に支援しながら生徒一人一人が生き生きと過ごしていけるように見守っていくことが大切だと考えています。

 9月25日の「鶴中祭」に向けて取組が本格化しています。緊急事態宣言が出されている中です。「学校ならではの学び」充実していけるよう、感染症対策に基づいた物理的な距離の確保はもちろんのこと、生徒たちの心の距離を適切に保っていけるよう指導にあたっていきたいと考えています。

 

令和3年7月20日号「情報活用能力を育てる~GIGAスクール構想~」

                                                                                                                                 

 7月2日、体育大会を開催いたしました。コロナウイルス感染症拡大防止のため、これまで行っていた内容を見直しての実施でした。 生徒たちは、大会に向けた取組期間中、競技の練習、係活動の準備など主体的に活動していました。大会当日はその成果を発揮し、それぞれが「走跳投」で全力を出し切ることができたことはもちろんですが、懸命に走っている仲間を声を出して応援できないぶん大きな拍手で励ます姿、生徒会が考え接触機会を減らし感染症対策をしっかりと行った生徒会種目を笑顔で頑張る姿などが見られ、実施することができて本当によかったと思っているところです。保護者のみなさまも、平日であったにもかかわらず、感染症対策にご協力いただきながらの観覧、ありがとうございました。

 さて過日、生徒が学校で使用している一人一台タブレット端末を一度家庭に持ち帰らせ、ご家庭でのWi-fi接続確認を行っていただきました。お忙しい中、ご協力ありがとうございました。

 この一人一台タブレット端末(機種は自治体ごとに異なります)は、令和元年12月に国が示したGIGAスクール構想に基づき全国の学校で整備されたものです。GIGAとは Global and Innovation Gateway for All を省略したもの(携帯電話会社が使用しているギガとは異なります)で、この構想は「生徒1人1台のコンピュータ(タブレット)」と「高速通信ネットワーク環境(校内のWi-fi)」を整備し、教育ICT環境を整えるというものです。当初は令和5年度までの計画でしたが、コロナウイルスの影響により前倒しとなり、令和2年度中に整備を行い、令和3年度開始をめざすこととなりました。情報化が進む社会では10年先の状況を見据えて、「主体的・対話的で深い学び」をとおして、3つの資質・能力(「知識や技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間性等」)をバランスよく育むことが求められています。あわせて、学習の基盤となる資質・能力として「言語能力」、「情報活用能力(情報モラルを含む)」、そして「問題発見・解決能力」を様々な教科等で育んでいくことも求められています。

 ここで学習の基盤として示されている「情報活用能力」とは、「情報そのものやICTをはじめとする情報技術を活用する力」のことです。IoT、ビッグデータ、AI等の技術革新が進む社会で求められる力でもあります。そのためには、情報手段(ICT機器等)の基本的な操作を文房具の利用と同様の必須スキルと捉えることが必要だと言われています。情報を収集・整理・発信する力、プログラミング的思考、情報モラルや情報セキュリティに関することについての学びも重要になってきます。このような学びをとおして「たくさんの情報の中から、必要な情報を見つける力、正しい情報を見抜く力」などを身につけていくことが大切です。中学校では技術・家庭科の技術分野の「情報の技術」領域で、プログラミングや情報セキュリティについての内容が充実しています。また学校では、「情報活用能力」を育てることと合わせて、これまで以上に教科指導におけるICTの活用が求められています。これまでも行われてきた教員が大型モニタに画像や音声、動画などの教材を映し出すことや、プレゼンテーションソフト等を用いて資料や作品を制作するといった活動に加え、発表や話し合いなどの協働学習でも活用が求められています。「GIGAスクール構想」→「オンライン授業」というイメージが強いかもしれませんが決してそうではありません。また、学校の全ての授業がICTによるものに変わるわけでもありません。ただ、GIGAスクール構想により教育ICT環境を整えることで、授業でICTを活用する場面が増え、学習効果を高めたり、時間を効率的に使えたり、子どもたち一人一人の学習状況を的確に把握して学びを充実させたり、「情報活用能力」を育てたりすることにつなげていくことが、今後は重要であると考えています。

 明日から27日間の夏休みになります。生徒たちには、それぞれこの休みの目標があると思いますが、感染症対策をしっかりと行いながら、充実した休みを過ごすとともに、心と体をゆっくりと休め、エネルギーを蓄えてほしいと願っています。

令和3年6月30日号「日本一あいさつも美しい村~あいさつで子供たちを育てる~」

 スローガン「日本一あいさつも美しい村」は、令和元年度の鶴居中学校区コミュニティスクールの熟議の中で、3校が共通のあいさつスローガンとして決められたものです。その具体的な取組として”のぼり”を作成し、各校であいさつ運動が行われています。地域の中であいさつが飛び交うことで、コミュニケーションがより活発になり、地域の皆様にはあいさつ運動とともに「ながら見守り」にもご協力をいただき、子供たちの交通安全や事故防止(不審者等)につながるものです。

 このあいさつ、これまでにもお知らせをさせていただいていますが、目指す生徒像を教職員、生徒、保護者・地域の皆様を共有していけるよう示している「今年度のキーワード」のうちの1つです。

 朝会講話で「あいさつ」について次のような話をしました。

 

Hello(ハロー:英語) Bonjour(ボンジュール:フランス語) Guten tag(グーテン・ターク:ドイツ語)

Ciao(チャオ:イタリア語) 你好(ニイハオ:中国語) 안녕하세요(アンニョンハセヨ:韓国語)

 これらの言葉、聞いたことがあったり、知っていたりする言葉で、すべて日本語に直すと「こんにちは」という意味です。

 他の国の言葉を学ぶとき、はじめに覚える言葉の1つがあいさつにかかわるものです。それだけあいさつは大事なことだということです。

 あいさつは「相手によい印象を持たれる」「会話のきっかけになる」「自分の緊張をほぐすこともできる」というメリットがあります。あいさつのポイントは「笑顔」で「ハッキリ」と「相手の目を見て」、そして自分からすることです。

 日本一あいさつの美しい村の中学生として、あいさつができる人になってください。

 

 

経済心理学を専門とするある大学教授が企業を例にあげて、次のようにあいさつの重要性について言っています。

〇あいさつが減るとコミュニケーションのきっかけがなくなり、情報交換が滞る。その結果、「うっかりミス」が多発す             る。

〇あいさつがさらに減り、あいさつの際に声を出さず、頭をさげるだけになると、多くの社員はストレスを感じ、「意識的に力を抜くこと」が増えたりして、会社組織がよくない方向へ向かってしまう。

〇さらに状態が悪くなって、頭を下げるどころか全くあいさつをしなくなるとどうなるか。あいさつは「攻撃性を減らす」という役割がある。良く思っていない相手でも、向こうから明るくあいさつされると怒りが薄れる経験は誰もがあるはず。あいさつが全くない組織では、相手や組織全体への怒りがあふれ続け、その組織はよくない方向に進み、ダメになってしまう。

 

 

 大人の社会であってもこれほどまでにあいさつは重要なものだと言うことです。

 また、あいさつは良好な人間関係を築き、「承認欲求」(認められたいという気持ち)を満たすといわれています。そしてそれは自己実現という「本当になりたい自分」に近づくための大きな原動力になるともいわれています。

 これから社会に出て、そこで生きる子供たちにとっては「あいさつ」は今も昔も重要なスキルなのです。

 今はコロナ禍でマスク越しのあいさつになってしまいますが、マスクをつけていても笑顔で気持ちのよいあいさつはできるはずです。ご家庭でもぜひ「おはよう、おやすみ、いってきます、いってらっしゃい、ただいま、おかえり」等、お互いの声かけを続けていただければと思います。保護者・地域の皆様も一緒になって「あいさつ」を通して、子供たちを育てていただければ幸いです。

 

 

令和3年5月31日号「自主性と主体性を育てる」

 コロナウィルス感染症に関わる緊急事態宣言が延長となりました。学校は感染症拡大防止のため、様々な制限の中で我慢の生活が続いていますが、今後もこれまでと同様、しっかりとした対策を講じていきながらも、生徒の意欲ややる気を引き出し、学校生活の中で身につけていく力を「目的」や「ねらい」をしっかりと定め、どういった場面でどのようにしてできるかを考え、教育活動を推進していきます。
 1ヶ月前のことになります。4月30日に前期生徒総会が行われました。書記局の活動計画の中に「Take Pride ~誇りをもつ~(自分のことや学校を誇れる生徒になってほしい)」と書かれていました。生徒総会の終わりの校長からの話の中で、このことについて次のような話をしました。

 生徒会活動は、みなさんが「主体的に」活動できるものの1つです。もちろん、何をしてもよいということではなく、周りのことを考えたり、先生方に相談したりすることも必要です。自分で考え、自分から行動し、自分たちでよりよい学校生活が送れるようにすることができると思います。
 書記局の目標に「誇りを持つ」というのがありました。とてもよいことだと思います。そこで考えてみました。そのためにはどんなことができればいいんだろうと。例えば、生活委員会の整列指導。委員の人が自分から進んで指示を出す。並んでいる人も、それをしっかりと聞く。そして的確な指示をだしてくれたおかげ、指示を聞いてくれたおかげと、互いに相手を思いやれることができれば、整列もしっかりとできるだろうし、結果、自分たちってすごい、やればできると思える、誇りを持てるようになるんじゃないかと思います。
 みなさんのこれからに期待しています。

 

 この話の中で出てくる「主体的」(主体性)は、昨年に引き続き、「今年度のキーワード」として示している4つの言葉のうちの1つです。この「主体性」に似た言葉で「自主性」という言葉がありますが、その違いは次の通りです。自主性は「やるべきことが明確になっていて、それを人に言われなくても率先して行う」こと。主体性は「何をやるか決まっていない状況で、目的を達成するために自分で考え判断し行動する」ことです。子供が毎日行っている家庭学習を例にすると、先生から出された宿題を家の人に「宿題やりなさい!」と言われなくても自分から進んでやるのは「自主性」、自分で考えた方法(授業の復習だったり予習だったり)で学習をするのが「主体性」ということになります。ただ、宿題では「主体性」が育たないのかというとそうとも限りません。やる内容は決まっていても、やる時間、やり方など、子供たちが自分で考えて決めることができる要素はたくさんあります。ですから「宿題」で自主性を伸ばし、さらに「主体性」を伸ばすこともできるはずです。
 「自主性」「主体性」を育てるのには時間がかかります。私たち大人も「こうしなさい」「ああしなさい」と言うことは簡単ですが、それでは主体性どころか自主性も育ちません。「やるべきこと」をはっきりさせる、さらには何のためにという「目的」をはっきりさせる、そして大人が「見守る」「待つ」ことで、子供たちに自分で考え、判断する場を数多く経験させることが大切だと思うのです。
 学校としても、子供たちの自主性や主体性を伸ばしていけるよう、様々な場面で子供が「自分で決める」ことができるよう指導にあたっていきたいと考えています。
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 生徒総会後の5月10日と24日の朝会。10日の整列は自分たちでやろうという姿が見られ、24日はそれに素早さが加わっていました。