学校だより

一人一人の「ワクワク」を大切にする学校に

 学校周辺の芝生も少しずつ緑に色づき始め、ぽつりぽつりとタンポポの黄色い花が可憐に咲いています。この鶴居村幌呂地区にも確実に、そして力強く春が訪れていることを教えてくれます。

 4月7日(金)令和5年度の始業式が行われ、新3年生の3名、新2年生の1名、そして教職員全員が一堂に会して大切な節目の時間を共有しました。生徒たちの折り目正しい態度や所作や真剣な眼差しからは、令和5年度のスタートを迎えるにあたっての希望や期待がにじみ出ているように感じられました。

 始業式では生徒たちに、2つのお願いをしました。

   1.「決して失敗を恐れず、自分の頭で考え・判断して、行動してほしい」

   2.「自分以外の色々な考えを認め、尊重してほしい」

 この2つは、今年度、本校が目指す生徒の姿です。そして、国の学習指導要領の理念で示されている「生きる力の実現」に向けて必要な要素となります。学習指導要領には「これからの社会が、どんなに変化して予測困難な時代になっても、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして、明るい未来を、切り拓いてほしい。」という願いが込められています。

 そして午後からは、2人の新入生を迎えて入学式が行われました。儀式としての厳粛な雰囲気の中、生徒たちが中心となって創り出した凜とした空気感は素晴らしいものでした。新入生による「誓いの言葉」では「幌呂中学校の生徒としての自覚をもちたい。そして、勉強と部活動の両立を目指して一生懸命に頑張りたい。」という力強く、頼もしい言葉が発表されました。また内容だけではなく、2人の堂々とした発表態度と自分の言葉で相手に伝わるように話す姿に、大変感銘を受けました。これは、小学校での6年間で培った学びの姿が体現された瞬間と言えます。幌呂中学校では、その学びのバトンをしっかりと受け止め、生徒たちが一層成長できる学びの場であるよう、教職員全員が一丸となって取り組むことをお約束いたします。

 さて、3年間にわたって、社会全体の生活様式や行動様式に大きな影響をもたらした、新型コロナウイルス感染症の対応が変化してきています。学校生活に関わることでは、4月1日より「マスクの着用を求めないことを基本とする。」という方針が国から示され、学校生活においてもマスクの着脱は個人の判断を尊重することとなりました。着脱はもちろん自由ですが、咳などの症状がなければ積極的にマスクを外し、互いの顔と顔を見て人と人との触れあいを深めてほしいという校長としての願いを、生徒たちと先生方に伝えました。

 新年度のスタートは学校にとって大きな節目です。生徒たち、そして教職員には節目ごとに気持ちを新たにし、期待を胸いっぱいに膨らませて学校生活を送ってほしいと願っています。それぞれの「ワクワクした気持ち」を大切にできる学校でありたいと思うのです。保護者・地域の皆様、1年間どうぞよろしくお願いいたします。

【R0301巻頭言】夢を叶えるための時間~人生の先輩からのメッセージ

 新しい年が幕を開け、年度末である後期後半が始まりました。後期後半は授業日数が1・2年生は47日間、3年生は40日間と非常に短い期間となります。「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」と言われるように、慌ただしく時間が過ぎていく時期です。各学年の総まとめ、そして進級の準備であると同時に、3年生にとっては進路実現に向け、とても大切な期間となります。コロナ禍における感染症対策を引き続き行いながら、新しい学校や学年に向かうために、大切に過ごしてほしいと願っています。

 さて、毎週月曜日に行っている朝会では、月初めは校長による講話を行い、他は生徒会の企画や、校長以外の教職員による講話を行っています。1月25日は社会人1年目、教職員の中では一番生徒に年齢が近い事務職員の講話でした。その講話の内容を紹介します。

 話は小学校時代に抱いていた大きな夢(プロ野球選手になる)について。小学校、中学校時代に野球をやっていて、打っては4番、守りはエースピッチャーと、まるで大谷翔平選手のように活躍していた自分が、高校に入ったときに自分よりもうまい人がたくさんいて、壁にぶつかってしまったこと。そのときに練習に対する「意識」が、うまくなりたい一心で「自分から」率先して練習に励んでいた自分から、壁にぶつかったことで練習の時間がただ過ぎていくことに喜びを感じるようになり自分を成長させたいという気持ちが薄れ、気がつけば高校に入学したときよりも周りとの差が大きく開いていったこと。そして周りと同じことをしていても自分の意識の持ちようで大きく変わるのだと、高校での部活動を引退したときに強く感じたということを話してくれました。

 話の後半では「夢を叶えるために必要な1万時間」についての話でした。これは1万時間の法則といわれ、心理学者のアンダース・エリクソン教授(フロリダ州立大学)らが1993年に発表したものをもとに、英国生まれの元新聞記者マルコム・グラッドウェル氏の著書『天才! 成功する人々の法則』で広められてもので、「ある分野でスキルを磨いて一流として成功するには、1万時間もの練習や努力、学習が必要だ」というものです。1日3時間継続して努力すると、10,000÷3=3,333.3…、更に365で割ると9.1…となり、9年という時間が必要ということになります。また、1日4時間だと6.8…となりおよそ7年となります。これは生徒たちがちょうど社会にでて働き始めるまでのこれからの時間です。1万時間という時間が正しいかどうかはわかりません。しかし、練習や努力、学習を継続することが大切だというのは間違いのないことです。終わりに「なりたい自分に近づけるように、これからの時間、コツコツと努力を続けていれば、それが実現する可能性が秘められていることを忘れないで欲しい」と人生の先輩から生徒たちにエールが送られ、生徒たちからも大きな拍手が起きました(思いが伝わったということだと思います)。

 事務職員というのは学校の中では一人職で、同じ仕事をしているのは他の学校の事務職員しかいません。そんな中、彼は意識を高く持ち、自分から他校の事務職員も含めいろいろな人に質問し、アドバイスを求めながら仕事をしています。きっと今の仕事に対する姿勢は、今回の話の中にあった経験が生かされているのだろうと思っています。

【R0212巻頭言】「プラス言葉」と「マイナス言葉」

 日本漢字能力検定協会が発表している1年の世相を表す「今年の漢字」の1位は「密」でした。2~20位は「禍」「病」「新」「変」「家」「滅」「菌」「鬼」「疫」「粛」「染」「耐」「感」「命」「離」「災」「苦」「休」「悲」で、新型コロナウイルスやその対策、新しい生活様式、そして大ヒットとなった「鬼滅の刃」を意識したものとなっていました。「密」については、流行語大賞になった「三密」など多くの人が「密」を意識したということの他に、大切な人との関係が「密」接になり、人とのつながりの大切さを再認識する機会になったという前向きな声もあったようです。

 今年はこのコロナのこともあり、緊張感を持って毎日を過ごしているからか、あっという間に日がたってしまったように思います。振り返ってみると、2月27日に一斉休校となり、4月の新学期からは感染症予防対策を講じたうえで学校を再開したものの、感染拡大によって再び4月20日から5月末まで休校となりました。子供たちも長期間、家で過ごすこととなり、学習課題と自学に取り組む毎日となりました。6月からの学校再開後は、学校の教育計画を見直し、夏休みを短縮するなどして子供たちの学びを保障する取組を行ってきました。言葉には「プラス言葉」と「マイナス言葉」があります。エネルギーを高めてくれる、やる気になれる言葉と、エネルギーを下げてしまうやる気がなくなる言葉です。水が半分入ったコップを見たとき、「水が半分も入っている」と言えますし、「水が半分しか入っていない」ともいえます。「も」と「しか」のわずかな違いではありますが、自分自身の感じ方や相手への伝わり方は全く異なります。「マイナス言葉」ばかりを浴びている環境では、気持ちも落ち着かず、考え方もネガティブになってしまいます。ですから「コロナ禍だからできない」と言って後ろ向きになることなく、感染症対策を講じた上で「できる方法を考える」ことが大切と考え、前向きに教育活動に取り組んできたところです。保護者や地域の皆様には、いつもとは異なる対応となることもあり、ご迷惑やご負担をかけることが多かった1年だったと思います。学校の取組にご理解とご協力を頂きましたこと、改めてお礼申し上げます。

 明日から冬休みになります。コロナの影響で家族が家で過ごす時間、そして家族での会話もこれまでよりも多くなると思います。ぜひ、子供たちとの会話では「プラス言葉」をたくさん使って、家族で充実した時間を過ごしてほしいと思っています。

 新型コロナの終息が見通せない中ではありますが、新しい年も、幌呂中学校が生徒一人一人の笑顔であふれ、仲間の良さを認め合い、互いに切磋琢磨して自己実現できるよう、感染症対策を引き続きしっかりと行い、教職員が一丸となって生徒たちの成長を支援して参りたいと思っています。本年同様、ご理解とご協力のほどよろしくお願い致します。

【R0211巻頭言】「情報活用能力」を育てる~GIGAスクール構想

 中学校では来年4月から新しい学習指導要領のもとでの、教育活動が推進されることになっています。学習指導要領は国がおよそ10年ごとに見直しを行う教育計画の基準を定めたもので、教科等でどのような内容を教えるのかが示されています。今回の改訂ではグローバル化、情報化が進む社会で10年先の状況を見据えて、「主体的・対話的で深い学び」をとおして、3つの資質・能力(「知識や技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力、人間性等」)をバランスよく育むことが求められています。あわせて、学習の基盤となる資質・能力として「言語能力」、「情報活用能力(情報モラルを含む)」、そして「問題発見・解決能力」を様々な教科等で育んでいくことも求められています。

 ここで学習の基盤として示された「情報活用能力」とは、「情報そのものやICTをはじめとする情報技術を活用する力」のことです。IoT、ビックデータ、AI等の技術革新が進む社会で求められる力でもあります。そのためには、情報手段(ICT機器等)の基本的な操作を文房具の利用と同様の必須スキルと捉えることが必要だと言われています。情報を収集・整理・発信する力、プログラミング的思考、情報モラルや情報セキュリティに関することについての学びも重要になってきます。このような学びをとおして「たくさんの情報の中から、必要な情報を見つける力、正しい情報を見抜く力」などを身につけていくことが大切です。中学校では技術・家庭科の技術分野の「情報の技術」領域で、プログラミングや情報セキュリティについての内容が充実しています。

 また、新しい学習指導要領では「情報活用能力」を育てることと合わせて、これまで以上に教科指導におけるICTの活用が求められています。これまでも行われてきた教員が大型モニタに画像や音声、動画などの教材を映し出すことや、プレゼンテーションソフト等を用いて資料や作品を制作するといった活動に加え、発表や話し合いなどの協働学習でも活用が求められています。

 こうした中で国から昨年の12月に示されたのがGIGA(Global and Innovation Gateway for All を省略したもので、携帯電話会社が使用しているギガとは異なります)スクール構想です。「児童生徒1人1台のコンピュータ(タブレット)」と「高速通信ネットワーク環境(校内のWi-fi)」を整備し、教育ICT環境を整えるというものです。当初は令和5年度までの計画でしたが、新型コロナウイルスの影響により前倒しとなり、今年度中に実現をめざすこととなりました。新型コロナウイルスの影響で、「GIGAスクール構想」→「オンライン授業」というイメージが強いかもしれませんが決してそうではありません。しかし、学校の全ての授業がICTによるものに変わるわけでもありません。GIGAスクール構想で教育ICT環境が整うことは、授業でICTを活用する場面が増え、学習効果を高めたり、時間を効率的に使えたり、子どもたち一人一人の学習状況を的確に把握して学びを充実させたり、「情報活用能力」を育てたりすることにつながっていきます。

 本校でも間もなく「1人1台端末」「校内ネットワーク環境」が整います。日常の授業で活用する場面や、その授業のねらいに応じてどのように活用していくのかを私たち教職員がしっかりと考え、子どもたちの学びを充実させていきたいと考えています。

【R0210巻頭言】幌中祭を終えて

 朝夕めっきり冷え込み、釧路地方でも氷点下を記録するなど、秋も深まってきました。

 10月17日に行われた第49回幌中祭では、長尾副村長様をはじめ、多くのご来賓、保護者・ご家族の皆様、そして地域の皆様に来校いただきありがとうございました。保護者の皆様には、例年同様、テーマ幕づくりや作品展に出品した単P研での「荷造りバンドアート」の制作に参加していだきました。また、幌呂小学校の児童の皆さんと鶴居保育園に通う幌呂地域の保育園児の皆さんの作品も展示をさせていただきました。たくさんの皆さんに盛り上げていただいた幌中祭となりました。本当にありがとうございました。

 今年はコロナウイルス感染症拡大防止のため、昼食バザーと午後からの演劇を取りやめ午前中のみの開催としました。生徒たちはテーマ「威風堂々~今こそ力を一つに~」にあるように、今できることを全員で力を合わせ、活気に満ちた立派な発表となることを目指し、準備を進めてくれました。そして当日は、一人何役もこなし、ステージ上の発表ばかりでなく裏方の仕事まで、その役割に責任を持ち、仲間と協力して行動し、それを保護者・地域の皆様に笑顔で見てほしいという思いで、発表に臨んでくれていました。また「これまでの先輩幌中生がやってきたことを、2・3年生が1年生と一緒に行動することで伝えていく幌中のよき伝統」も感じることもできました。後日行われた朝会での生徒会長の話や生徒たちの反省から、今回の幌中祭の取組が今後の成長につながる多くの学びを得たものだったと思ったところです。

 幌中祭が終わり、3年生は来春の進路決定に向けての具体的な取組に集中していくことになります。来春の進路ばかりでなく、さらのその数年先のなりたい自分を思い描きながら、一日一日を大切にして努力していってほしいと願っています。1・2年生もこれからの中学校生活を改めてイメージし、生活面や学習面について具体的な取組を習慣化し定着させることが大切です。幌中祭での学びを糧とし、全校生徒一人一人が目標を定め、互いに高め合うことで、さらなる成長につなげていってほしいと思っています。

 先日、新型コロナウイルス感染症にかかわって、北海道の警戒ステージが2に引き上げられました。学校では文部科学省の定める「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」及び北海道教育委員会、鶴居村教育委員会からの通知に基づいて感染リスクの高い教育活動を控えるなど、生徒たちの健康と安全を守る対策を講じながら教育活動を行っていきますので、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

 また、釧路管内で新型コロナウイルス感染症の罹患者が増加傾向にある中で、釧路市内の児童生徒が大人から心ない言葉をかけられたり、扱いをされたりする事案が発生しています。新型コロナウイルスは誰もが感染する可能性があるものです。感染者や濃厚接触者に対しては、あたたかな思いやりの心で接することが大切です。学校では、日頃から生徒たちにそのように指導していますが、保護者や地域の皆様におかれましても、これまでと同様に、不確かな情報や憶測に惑わされることなく、また差別や偏見、誹謗中傷に同調することなく、冷静にご対応いただきますようよろしくお願いいたします。

【R0209巻頭言】後期のスタートにあたって

 9月の上旬はまだまだ暑い日が続いていましたが、最近は道東らしい爽やかな青空が広がっています。朝晩の冷え込みにより日々の寒暖差が激しくなっています。寒暖差が激しいと体調を崩しやすいといいます。気温に応じた服装や、室内の温度管理など、急激な体温変化を起こさないようにして体調も整えていきたいものです。

 さて、9月28日から後期のスタートとなりました。前期はコロナウイルス感染症拡大防止のための臨時休校等がありましたが、夏休みを短縮したこともあって進度も回復し、時間数としては真ん中の少し手前で1年の折り返しとなりました。1年生にとっては中学校最初の1年間の折り返し、2年生は中学校3年間の折り返し、そして3年生は最終学年としての折り返しです。26日に行った前期の終業式では、渡された通知表を見てこれまでの生活(努力)を振り返り、「自分にとって満足、納得のいく半年だったのか。そしてそのことをどう後期につなげるのかを考えてほしい。」と子供たちに話をしました。あらためてそれぞれの次のゴール(目標)について、どのようなゴール(目標)を考え、これからどのように毎日を過ごしていくのかを、具体的に考えてみるということです。特に3年生はこの残り半年で、中学卒業後の進路を決めその実現に向けて全力を尽くす大切な毎日を過ごすことになります。

 後期はまず幌中祭の取組から始まります。すでに夏休み明けから教科の学習や学級で、10月17日(土)に向けて準備が始まっていますが、9月28日からは特別時間割となって取組が本格化しています。コロナ禍での開催となりますので、例年行っている演劇は中止とし午前中のみの日程としましたが、感染症拡大防止策をしっかりと行って、来校される皆様が笑顔になる発表を目指して取組を進めていきます。たくさんの保護者やご家族の皆様、そして地域の皆様にご来校いただければ幸いです。

 この「幌中祭」では学年・学級の枠を超えて全校で行う取組もあります。他の仲間と協力して向上することの喜び、持てる力を最大限に発揮し一丸となって感じることのできる達成感や充実感といった「学校ならではの学び」を味わってほしいと思っています。しかし一方で「幌中祭」の取組のような集団での活動は、緊張や疲労がたまることで人間関係の衝突なども起きてしまったりもします。それが表面に現れる生徒もいれば、内面に閉じ込めてしまう生徒もいます。私たちは大きなトラブルやいじめ等につながらないよう、未然防止につとめていきますが、生徒たちの成長過程におけるこういった課題は、生徒たち自身の解決(折り合いをつける)を通して、豊かな人間性や社会性を育んでいくことにもつながると考えております。この時期に限ったことではありませんが、私たち大人が、学校と家庭のそれぞれの特性、役割を生かし、連絡を取り合い、適切に支援しながら生徒一人一人が生き生きと過ごしていけるように見守っていきたいと思います。

 一年の中で、一番活動しやすいこの季節、行事や日常の学習などすべての活動を充実させて取り組んでいけるよう、コロナ禍での感染症対策をしっかりと継続し、生徒たちの体調に気を配りながらサポートをしていきたいと考えています。

【R0208巻頭言】子供たちが自ら考え、議論していく授業づくり

 いつもとは違う短い10日間の夏休みが終わりました。冬休みまでの登校日数を数えてみると91日(回)。9月は前期の期末テストや部活動の秋季大会、そして10月の幌中祭に向けての準備など、子供たちはやるべきことが目白押しの状態です。さらに3年生は進路選択の参考資料となる学力テストも行われます。子供たちには夏休み明けの集会の中で、『「WITHコロナの生活」の中でも、単に「頑張る!」ではなく「何をどう頑張るのか」をしっかりと考えてほしい』と話をしたところです。先の見通しを持った取組が必要となりますので、余裕を持った対応ができるように指導をしてまいります。

 さて、夏休み前の話になりますが8月6日は広島平和記念日でした。75年前、広島に原子爆弾が投下された日です。例年ですと夏休み中なので、学校でこの日に「ヒロシマ」について触れることはできませんが、今年は授業日ということもあり、戦争の悲惨さや平和の大切さについて子供たちに担任から話をしました。そして、2・3年生の学級通信でも紹介されていましたが、2・3年生では道徳の時間に貧困や紛争のある国で「国境なき医師団」として医療援助活動を行っている貫戸朋子さんについての授業を行いました。「これから来る新たな患者のために、助かる見込みの低い男の子の酸素ボンベを切ったという私の判断は正しかったか」という難しい問題に子供たちは真剣に向き合い、「命」について深く考えたようです。

 この「ヒロシマ」についての2・3年生への担任からの話、そして同じ日に行った道徳の授業のように、道徳については道徳の時間だけではなく学校の全ての教育活動と関連付けて指導を行っていくことが求められています。道徳の時間で学ぶ価値内容は学習指導要領に示されていますが、さまざまな道徳的価値に対して「自分のこととして考える」「これからの自分の生き方について考える」ことが必要です。たとえば「きまりはなぜあるのか」「きまりは守らなければいけないのか」「きまりがなければどうなるのか」「きまりだから守るのか」という価値に対する様々な考えから、「自分はどうだったか」「それでよかったのか」「これからはこうしていこう」と自分の生き方に結びつく考えをさせていくことが大切です。そのために現在の道徳の授業では、子供たちが自ら考え、議論していく授業づくりが求められており本校でも取り組んでいるところです。議論する力を高めるには国語の時間、学級活動の時間などでも行われます。道徳の時間の議論はねらいとする価値にせまるため、よりよい価値観に気づかせるために行うことが大切です。資料等に登場する人物の葛藤の裏にある価値の高低、他の価値とのかかわり、多様な価値に対する考えを発表し、「そういうことか」「その考えはすばらしいな」「自分はできなかったな」「よし、これからやってみよう」というように議論を通して高まっていくことを期待したいものです。中学生という発達段階を踏まえ、議論する形態も工夫し、子供たちが自由に議論できる雰囲気づくりを大切にしていきたいと考えています。